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ポルシェ 996GT3 6連スロットル仕様

image001.jpgimage001.jpg2014年9月6日 
オーナーからGT3を預かり 来年5月頃までを目処に作業が始まりました、GT3の6連スロットルの
情報は少なく 海外製では高価なキットが存在しましたが 国内では各ショップがオリジナルのスロットルキットを製作 デモカー等に取り付けているようです。少ない情報の中で6スロ計画はスタートしました



エンジンを外し ミッションを切り離します、空冷エンジンより慣れてしまえばGT3の水冷の方が少し楽かもしれません。
作業を進めると さすがGT3と思わせる部分が何箇所もあり楽しいですね。
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スロットルボデーに何を選ぶかによって 製作コストが大きく変わります。
また出来上がってからのパワーやエンジン特性にも大きく左右される事になります。
他のショップはトヨタ5バルブ用のスロットルを流用している様ですが、私は市販されている空冷ポルシェ用を選びました。
理由は色々有りますが スロットル同士の間隔が同じだったと言う事や排気量に対しての口径が理想的だった事が決め手と成りました。
加工して行くうちに 改めてこの選択がが正解だったと言う事がわかって来るのです。
エンジンコントロールはMOTECコンピューターを使うことを決めていました。
高価ですが、どの様な仕様に対しても必ず結果を出してくれます。
今まで助けられた事は何度もありましたが 裏切られたことは一度もありません。
AVO モーテックジャパンのスタッフにはいつも感謝しています。
ノーマルのインテークマニホールド、シングルスロットルその他補記類をどんどん外し 6連スロットル製作が始まります。

最初にインテークマニホールドを作ります。
ノーマルのインテークマニホールドにフランジを組み付けます。
ここはアルミ溶接したい所ですが アルミ溶接はどうしてもフランジ面に歪みが出てしまいます。
肉厚があれば面研も可能ですが 私はOリングを使ってボルトで止める方法を考えました。
加工は塚田技研にお願いしました。加工精度が高く信頼しています。 見てください すばらしい加工です。
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スロットルボデーとインマニです
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こんな感じになりました、すべてはオープンに出来ないので 興味のある方は連絡ください
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リンケージは苦労しました。
ワイヤー一本で 左右のスロットルを正確に連動しなければ成らないのですが このエンジンは右バンクと左バンクが約60mm前後にオフセットされています。
さらに水冷タイプのオイルクーラーがすごく邪魔になって苦労しました。
完全にレース仕様であれば楽なのですが、オーナーのエアコンを残して貰いたいと言う希望が 更に事を難しくさせていました。
左右を結ぶシャフトは太い中空タイプを使用し、ねじれに負けないようにしました。
全開時のワイヤーの移動距離と スロットルを開けるリンケージの長さを計算しながら製作しました。
アクセルを開ける感覚はすごく大事で 重かったり ダイレクト感が無かったりしたら せっかくの6スロ計画そのものが失敗に終わる可能性がある訳で 非常に緊張しながら作業しました。
おかげで出来上がりは 最高によく出来たと自負しています。

どうでしょう カッコいいですね、いい仕上がりです。
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完成したシャフトは塗装屋さんでペイントしました。
缶スプレーでは質感が無く 長持ちしません。
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今回は手探り状態で製作したために、試行錯誤の連続でしたが イイ物が出来たと満足しています。
しかし課題も色々残しましたので 次回エンジンを下ろした時は更に改良したいと考えています。


他のショップのGT3のエンジンルームを見た時 ファンネル上部の空間が狭いと感じました。
この事がインマニ製作の時に大いに参考になりました。
おかげでロングタイプのインマニを取り付けても上部に5センチ位の空間を確保する事が出来ました。
また、熱がこもり吸気温が上がってパワーに影響が出ると言う情報もあったので、ファンネル上部に直接空気が入るようにエアーダクトを取り付けました。
左右のリヤガラスからダクトを引いて冷えた空気を取り込みます。
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image027.jpgimage027.jpgアイドリング コントロールバルブ取り付けの為エアータンクを左右に取り付けました。
燃圧レギュレーターを市販の物に交換しました、燃圧計付です。燃圧計の後ろにリンケージシャフトが斜めに走っています。



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M800 MOTECコンピューターを取り付け セットアップします
ノーマルのカタログデーター 360Ps トルク37.7kgmが6連スロットル+Motec仕様に変更後
 390ps  トルク40.0kgmと言う 素晴らしい成果を 記録しました。この数値はGT3後期モデルや 
RS381Psを上回るパワーアップとなり次回レースが大変楽しみです。

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